津波を“爽快”…「福島」連想させるベルギーのクラフトビール、欧州で販売。取材に「人を傷つける」と認めラベル刷新へ

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東日本大震災で多くの命を奪った津波を、「爽快」という言葉と結びつけたクラフトビールがベルギーなど欧州で販売されていることが、ハフポスト日本版の取材でわかった。

ビールの商品名は「福島」を連想させる「Fugushima(フグシマ)」で、2021年の発売以来、約50万缶が売れていることも判明した。

販売元であるベルギーのクラフトビール会社は取材に対し、文言が人を傷つけるものだったと認めた上で、表現を見直してラベルを刷新すると回答した。

ラベルに「爽快な津波の…」

販売元は、ベルギーを拠点とする「Fugu Brewing」。同社は取材に、ブランドは「日本の文化と職人技への敬意から生まれた」と説明した。

「Fugushima」は、同社が2021年に発売したクラフトビールだ。缶のラベルには、怒った表情をした緑色のフグのイラストと、次の英文が書かれている。

「BREWED WITH AN OBSCENE AMOUNT OF HOPS. SWIM IN THE TROUBLED WATERS OF A REFRESHING TSUNAMI!」

日本語に訳すと、「とんでもない量のホップで醸造。爽快な津波の荒れた水の中を泳げ!」となる。

このビールは主にベルギー国内で流通し、ルクセンブルク、フランス、イタリアにも少量を輸出しているが、日本で販売されたことはないという。

缶のラベルに「FUGUSHIMA」と書かれたクラフトビール
缶のラベルに「FUGUSHIMA」と書かれたクラフトビール

「FUGU]公式サイトから

「人を傷つける」と認める

ハフポスト日本版は10月22日、ラベルの文言の意図やイラストのコンセプト、商品名が福島を念頭に置いたものかどうかなどを、Fugu Brewingに質問した。

同社はラベルの英文について、「このビールのホップの強さとフレッシュさを表現するためのものだった」と回答した。

2011年3月11日の東日本大震災のことは知っていたが、「この言葉が、とりわけ『Fugushima(フグシマ)』というビールの名前と並んだときにどう読まれるかについて、真剣に考えていなかった」と認めた。

イラストについては、ホップの強烈な香りを表現したものだと答えた。

ただ、福島を連想させる名前と「津波」という言葉を合わせて見れば、「人を傷つける形でしか読まれ得ないことは理解している」とした。

また、商品名が福島と似ていることにも気づいていたが、福島や災害を指して選んだものではないと説明した。

ブランド名の「FUGU」に「-shima」を加えたのは、日本から影響を受けた自社の価値観を反映させるためだったとしている。

津波を「爽快」と結びつけるなど、震災を軽々しく扱い被災者を傷つけかねないとの懸念については、「その通りで、私たちも同じ思いだ」と述べた。

クラフトビールを販売している
クラフトビールを販売している

FUGUのホームページ

「責任はすべて私たちにある」

Fugu Brewingによると、缶の文言に関する懸念の声が9月13日に一人から届いた後、悲劇的な出来事を想起させる表現を「SNSや印刷物、製品ラベルを含むすべての資料から削除する」ことを決定したという。

新しい文言のラベルは現在製作中で、11月以降、店頭の缶から順次切り替わる予定。だが、醸造や配送に時間がかかるため、移行期間中は旧ラベルの缶が一部の店舗に残る可能性があるとした。

また、「Fugushima」という商品名は、「5年間掲げてきた名前」という理由から、変更しないことを決めたとも述べた。

今後は、名前やラベルが他の文化でどのような意味を持つのか、発売前に確認する仕組みを取り入れるとしている。

10月20日以降、主に日本からSNSやメールで約50件のメッセージが同社に届いているという。

創業者のニコラ・ラクロワ氏は取材に対し、「私たちの意図がどうであれ、結果として人を傷つけるものであり、その責任はすべて私たちにある」と述べた。

その上で、「信頼は行動によって得られるもの。今の最優先事項は自らの過ちを正すことだ」と強調した。

福島の人々が受け入れてくれるのであれば、地域のアーティストとのコラボレーションの可能性も検討していると明かした。

繰り返される福島への誤ったイメージ

福島を巡っては、震災と原発事故以降、誤ったイメージや偏見につながりかねない表現が国内外で繰り返し問題になってきた。

ハフポスト日本版の取材では2024年、海外のストックフォトサイトで「Fukushima」と検索すると、海や魚に放射能標識を重ねた画像が多数表示されることがわかった。

東京電力福島第一原発の処理水を「Fukushima water(福島水)」と英訳して報じた国内メディアがあったことも判明。

SNS上で、巨大な魚や不可解な現象が拡散されるたびに「Fukushima water」と書き込まれるなど、言葉そのものが“ミーム化”している実態も浮き彫りになった。

2026年には、原発事故の被曝で人が死亡するなど、科学的知見と整合しない描写を含む映画が国内外で上映され、大手新聞など少なくとも10メディアが“宣伝記事”を掲載していたことも取材で明らかになった。

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