赤ちゃんが泣き止む4.7億回再生の曲、科学的根拠があった

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(CNN) 幼児と乳児の2人の子どもを持つ筆者の場合、車での移動の半分ほどは泣き叫ぶ声がBGMになっている。泣いているのは父親である筆者ではなく、(大抵の場合)子どもたちだ。気持ちはわかる。おなかにたまったガス、窮屈なチャイルドシート、長くて怖いトンネル。車窓から外をのぞくのもやっとの小さな子どもにとってはどれも泣くのに足る理由だ。

途方に暮れた多くの親と同じように、妻と筆者は鍵をジャラジャラ鳴らしたり、手近にあるものを握りつぶしてバリバリと音を立ててみたり、不自然なほど甲高い声で歌うようになだめたりしてきた。あるいは断念して目的地にたどり着くまで聞き流すこともあった。

ところが、あるとき泣きやませるのに絶大な効果を発揮する方法を知り、それ以来、まわりの親全員に教えずにはいられなくなった。それこそは科学と魔法が生み出した傑作「ザ・ハッピー・ソング」だ。

冒頭で楽しげな笑い声が響き始めた瞬間、子どもたちはたちまち落ち着く。そして、この効果はすべて計算されたものなのだ。

この2分半の曲は今週で誕生10周年。2人の心理学者と、グラミー賞受賞歴を持つミュージシャン、イモージェン・ヒープ氏が共同制作し、赤ちゃんを幸せにする要素についての既存の研究と、乳児を対象としたフォーカスグループ調査の結果を組み合わせることで生まれた。耳に残るメロディー、歩くように動くベースライン、遊び心のある歌詞にはもはや催眠術のような効果があり、ぐずり始めた赤ちゃんが本格的に泣き出すのを食い止める。

過去10年間に「ザ・ハッピー・ソング」が音楽配信サービス「スポティファイ」で再生された回数は実に4億7000万回を超える。マービン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」やサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」を上回る数字だ。

ソロ活動に加え、デュオ「フル・フル」のメンバーとして活動し、テイラー・スウィフトのアルバム「1989」の共同プロデュースも手がけたヒープ氏にとって、「ザ・ハッピー・ソング」は今や多額の印税を生み出す有数の楽曲となっている。

「『世界中の赤ちゃんのおかげで大もうけできる』なんて作曲前には考えたこともなかった」。英ロンドンのスタジオからビデオ通話に応じたヒープ氏は、この曲のロングヒットを振り返って笑った。「渋滞にはまったときなんかに家族が数分でもほっとできるような曲を本当に作りたいと思っただけ」

好みがはっきりした聴き手

「ザ・ハッピー・ソング」は英ベビーフードブランド「カウ&ゲート」の依頼で制作された。企業の企画から生まれたという経緯は、今ではほとんど知られていない。同社は2016年、音楽心理学者のローレン・スチュワート氏と児童発達心理学者のキャスパー・アディマン氏に、親たちに無料で提供する、赤ちゃんを幸せな気分にする曲の制作を依頼した。2人はテクノロジーを積極的に取り入れることで知られるミュージシャンのヒープ氏に協力を求めた。ヒープ氏にも当時、1歳半の子どもがいた。

ミュージシャンのイモージェン・ヒープ氏と児童発達心理学者のキャスパー・アディマン氏はフォーカスグループに相談しながら「ザ・ハッピー・ソング」の制作にあたった/Megaphonic Records
ミュージシャンのイモージェン・ヒープ氏と児童発達心理学者のキャスパー・アディマン氏はフォーカスグループに相談しながら「ザ・ハッピー・ソング」の制作にあたった/Megaphonic Records

2人は科学的根拠に基づいて、長調やメロディーの繰り返しを使うといったことから、期待感や驚きを生み出すドラムロールや音程をなめらかに上げるピッチグライドといった音楽的手法までさまざまなやり方をヒープ氏に提案。一方で2人は2000人以上の親を対象に調査を行い、赤ちゃんが反応する音も特定した。その中には動物の鳴き声やほかの子どもの笑い声が含まれており、いずれも曲に取り入れられた。当初の制作指示には「マザリーズ(乳幼児向けの話し方)」で歌うことも盛り込まれていた。

こうした提案に加え、自身の母親としての直感も頼りにヒープ氏は制作に取りかかった。「母親として何が心地よく感じられ、何がありきたりすぎると感じられるかは直感的にわかるものだ」と同氏は振り返る。しかし、科学の出番はそれで終わりではなかった。4種類の主要なメロディーが作曲されると、生後6~12カ月の赤ちゃん26人に各メロディーを2種類の速さで聞かせる実験を行った。

参加した赤ちゃんの動きや表情、声による反応(そして付き添いの親たちによる多少の解釈)から明確な勝者が浮かび上がった。「好みが非常にはっきりしていた」とアディマン氏は話す。最終的にヒープ氏が「ザ・ハッピー・ソング」の中心に据えたメロディーは赤ちゃんの約80%が好んだという。

その後、さらに完成度を高めたバージョンの曲も改めて赤ちゃんたちに試聴させた。ある実験で異なるテンポの曲を聞かせたところ、赤ちゃんたちが(わずかに)遅い方を選んだことにアディマン氏は驚いたという。一般的に大人よりも乳児のほうが心拍数が速いことから、研究者たちは当初、速いテンポを使うようヒープ氏に提案していたからだ。

親たちのお墨付き

これだけ科学が関わっているとはいえ、幸運も一役買っていた。選ばれたメロディーはヒープ氏の娘が歌っていたちょっとした歌から着想を得たものだったのだ。

2025年3月にロサンゼルスで公演するイモージェン・ヒープ氏/Carlos Gonzalez/Rolling Stone/Getty Images
2025年3月にロサンゼルスで公演するイモージェン・ヒープ氏/Carlos Gonzalez/Rolling Stone/Getty Images

「ザ・ハッピー・ソング」の魔法は子どもたちが気に入るというだけではない。ほかの子ども向け音楽産業が生み出す曲とは違い、筆者はこの曲が嫌いではない。階段を上るときやコーヒーを入れるとき、気づけば口ずさんでいる。頭から離れない曲なのだ。もし子どもがいなかったら「ザ・ハッピー・ソング」を聞いていたとは言えないが、実際には自分の意思で何百回も聞いてきた。

「親をいら立たせる曲があることはわかっている」とヒープ氏は話し、「あまり耳障りではなく、ちょっと面白い部分もある」曲を書きたかったと付け加えた。

それを実現しているのが、部分的に大人に向けて書かれた歌詞だ。筆者の頭に最もよく浮かぶ「毎日ますます、あなたが大好き」という一節は、子どもたちではなく、親の気持ちを表している。「歌詞には本当の気持ちを込めたかったし、楽しいものにしたかった」とヒープ氏は語った。

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原文タイトル:This song was scientifically designed to soothe babies — and 470 million streams prove it works(抄訳)

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