米国務省、仮想通貨追跡・マネロン対策を太平洋展開|11計画で70億円投入

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この記事の要点

  • 米国務省、太平洋犯罪対策に69億円超の新計画を発表
  • 仮想通貨の資金追跡訓練やマネロン防止法の整備も支援

太平洋犯罪対策に70億円、追跡訓練も

米国国務省は2026年10月22日、太平洋地域の越境犯罪対策として総額4,400万ドル(約70億円)超を投じる新規プログラムを発表しました。

このうち500万ドル(約8億円)は「PACIFIC(不正金融・サイバー犯罪対策のための太平洋同盟)」に充てられ、太平洋島嶼国の捜査機関などに仮想通貨(暗号資産)の資金追跡やデジタルフォレンジックの訓練を提供する計画です。

こうした支援を通じて、各国が国境を越える不正資金の流れを追跡できる体制を構築するとともに、マネーロンダリング防止法やサイバー犯罪関連法の整備も後押しする方針を示しています。

米国が対策を急ぐ背景には、太平洋を経由する麻薬密輸と大規模な資金洗浄の問題があり、米国務省は犯罪組織による薬物の製造・輸送から資金洗浄までを一体的に阻止する必要性を指摘しています。

仮想通貨追跡と金融犯罪捜査を強化

仮想通貨追跡からBO調査まで支援

PACIFICでは、太平洋島嶼国の金融情報機関(FIU)やサイバー犯罪対策部門に対し、米連邦機関による仮想通貨の資金追跡やデジタルフォレンジックの専門訓練が予定されています。

訓練には企業などの実質的支配者(ベネフィシャル・オーナーシップ)を特定する調査も含まれ、不正資金の流れだけでなく、その背後にいる人物や組織の特定にも対応するとしています。

米国は捜査官の訓練に加え、FATF(金融活動作業部会)の基準やブダペスト条約に沿って、各国のマネーロンダリング防止法やサイバー犯罪関連法を整備するための支援も提供する方針です。

米国務省は、こうした金融犯罪対策について、米国のクラウド・通信関連プログラムが構築を支援する太平洋地域の「信頼性の高いデジタル経済」を保護する施策の一環と位置づけています。

西半球カルテルの密輸拡大が背景に

米国務省は今回の発表で、太平洋地域を経由する麻薬密輸の実態にも言及し、西半球のカルテルによる犯罪活動が地域の安全保障上の脅威になっていると指摘しました。

同省によると、2024年以降、西半球のカルテルが太平洋経由で密輸する麻薬の量はアジアからの流入量を上回っており、運び屋や国際郵便、民間航空機、半潜水艇などが輸送手段として使われています。

米国務省は麻薬密売による収益の資金洗浄も取り締まりの対象に挙げており、密輸ルートの摘発と不正資金の追跡を組み合わせる方針です。

こうした越境犯罪への対策として、米国は金融捜査だけでなく、麻薬の輸送経路となる海域や港湾での取り締まりも支援する計画を打ち出しました。

太平洋犯罪対策に11プログラム発表

米国務省は、太平洋地域の犯罪対策に幅広く予算を配分する方針を明らかにしました。

これらの支援策は、10月21〜22日にロサンゼルスで開催された初の米国・太平洋島嶼国警察閣僚会議(COPMIN)で発表され、海上法執行から薬物・金融犯罪の捜査までを対象とする予算付き11プログラムを含む支援策が打ち出されています。

支援内容には、パラオでの海上法執行拠点の建設や監視ネットワークの整備に加え、FBIによるマネーロンダリング・サイバー犯罪の捜査訓練、国際機関と連携した越境犯罪対策などが盛り込まれました。

プログラム名 予算額 主な内容
RIPTIDE400万ドル(約6.3億円)インターポール・WCOと連携した太平洋〜西半球の越境犯罪対策
アウモアナ地域センター(パラオ)700万ドル(約11億円)海上法執行の訓練・調整拠点建設
海域共有監視ネットワーク約550万ドル(約8.6億円)海上監視ツール・通信システムの供与
プロジェクト・カナロア450万ドル(約7.1億円)沿岸警備隊による海上法執行訓練
EPIC500万ドル(約7.9億円)FBIによる薬物・汚職・マネロン・サイバー犯罪の捜査能力向上
FORTRES250万ドル(約3.9億円)国土安全保障捜査局による国境・港湾の保安対策
前線捜査官イニシアチブ130万ドル超(約2億円超)フィジー・トンガ等での麻薬・金融捜査訓練
PINSR45万ドル(約7,069万円)DEAによる3年間の麻薬・金融犯罪捜査訓練
トンガ水際対策強化約350万ドル(約5.5億円)貨物検査装置の設置・探知犬施設の関連設備整備
PACIFIC500万ドル(約7.9億円)仮想通貨追跡・サイバー犯罪対策・法整備支援
INSPIRE500万ドル(約7.9億円)太平洋島嶼国の警察学校カリキュラム整備

仮想通貨規制、国際基準との整合が課題

米財務省は2026年5月20日、メキシコのシナロア・カルテルのフェンタニル密売ネットワークに関与した15の個人・団体への制裁措置を発表しており、麻薬取引の収益がデジタル資産を通じて移転される問題への対応を進めています。

国際的な規制面では、FATFが2026年7月16日に公表した報告書で、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)の登録・監督やトラベルルールの導入が進む一方、実効的な監督と法執行には課題が残ると指摘しています。

太平洋地域の法制度については、同報告書でも太平洋島嶼国を含む各国のVASP監督体制の格差が課題として挙げられています。

米国務省はCOPMINで発表した施策を2027年以降も支援する方針を示しており、今回のPACIFICは、太平洋島嶼国における仮想通貨の不正利用対策を捜査技術と法制度の両面から支える取り組みとなります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.06 円)

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Source:米国務省発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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