トランプ演説は我が国でどう伝えられた?アメリカ建国250周年報道「日本国内メディア」内での温度差

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アメリカ建国250周年の記念式典では、トランプ大統領が「黄金時代の幕開け」を強調する演説を行い、国内外で大きな注目を集めました。一方、日本の主要メディアは同じ演説を報じながらも、政治対立や歴史認識、経済、国際秩序など、それぞれ異なる視点から論じています。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、ジャーナリストの引地達也さんが、各紙の報道姿勢を比較しながら、建国250周年という歴史的節目が日本社会に投げかける意味を考察しています。

建国250周年の演説を伝える日本メディアの意識と私たちのスタンス

米国が建国250年を迎え、日本でもトランプ米大統領の演説や記念セレモニーが報じられた。

主要メディアでは米国の250年の歴史を振り返り、現状を分析、解説する論評やルポルタージュがそれぞれの視点で語られている。

インディアンの殺りくや初代大統領ワシントンの矛盾、奴隷制度と南北戦争、世界大戦と米ドルの覇権-。

そんな振り返りは知識としては興味深いが、それら歴史を凌駕するかのように新たな秩序を強要するトランプ大統領が率いる米国に、その250年は祝意よりも心配が先立つ。

歴史の転換点には常に為政者の言葉があったことを考えると、今回の式典の演説でトランプ大統領が何を語るかに注目が集まったが、それは今後、歴史的な発言として後世に語り継がれることにもなるから重要だ。

また、その演説を250周年記念イベントのクライマックスとして報じる日本のメディアのスタンスもそれぞれの切り口があり興味深いが、それは私たちの様々な米国観を反映しているといえよう。

読売新聞は「米国は4日、独立宣言の採択から250年を迎えた。トランプ大統領は同日深夜の演説で『米国は世界中の希望、栄光であり続けた』と強調し、『最高の時代はこれから訪れる。米国の黄金時代の幕開けにすぎない』と宣言した。

また、民主党内で急進左派が台頭していることを念頭に、『米国が共産主義国家になることは決してない』と対決姿勢を鮮明にした」と米国内向けの対立に注目した。

産経新聞は「米国が建国250年の節目を迎えた4日、トランプ大統領が首都ワシントンで演説し、『250年にわたり米国は世界にとって希望であり、光であり、栄光であり続けた』と述べた」とし「トランプ氏は『米国はかつてないほど強く、自由で、豊かで、安全で、誇り高い国だ』と主張。

250年前に当時世界最強の大国だった英国からの独立を果たした歴史を踏まえ、米国を改めて称賛した」と続けた。これも主張を伝えることを優先した。

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毎日新聞は「米首都ワシントンで24日、建国250年の祝祭『グレート・アメリカン・ステート・フェア』の開会式典があり、トランプ米大統領が演説した。

共和党のトランプ氏は民主党のバイデン前政権を念頭に『しばらく前まで私たちは死んだ国だった』と自説を展開。選挙集会さながらの雰囲気で国民の結束を促す配慮はみられなかった」とトランプ氏の野党批判を取り上げた。

朝日新聞は「アメリカ建国250周年の節目となる独立記念日の4日、トランプ大統領が首都ワシントンで演説した。退役軍人や宇宙飛行士らを招き、米国の『勝利』と『自由』の歴史をたたえる一方、国内の対抗勢力を『共産主義者』と攻撃するなど、祝賀の場にも政治色を持ち込んだ」と対立する構図を浮かび上がらせた。

読売と産経が国内政治を中心に記述したのに対し、毎日と朝日は評価を加えた書きぶりといえよう。

共同通信は「トランプ米大統領は4日(日本時間5日)、首都ワシントンで建国250年を祝う演説に臨んだ。『米国は世界の希望、光であり続けてきた』とし『米国の黄金時代は幕開けに過ぎない。最高の時はこれからだ』と表明した。

トランプ政権は強圧的な姿勢で世界を揺さぶり、米社会の分断も深刻だ。民主的な価値観を体現し、国際社会を導く特別な存在だと自負してきた米国は変容し、分岐点に直面している」。

世界政治と歴史の節目としての位置づけを提示し、先行きの不透明さも印象付けた。

日経新聞は「トランプ米大統領は4日、米国の独立宣言から250周年の節目を祝う記念式典で演説した。

『米国人に乗り越えられない目標はない』と述べ、好調な株式市場にも触れつつ『米国の黄金時代の幕開けに過ぎない』と宣言した」と、経済と「黄金時代」を組み合わせて、大統領の認識を強調した。

それぞれの論調で捉える今の米国とトランプ大統領のそれぞれの表現は、私たちの社会、米国との同盟関係を基軸とする日本にいる私たちの戸惑いも垣間見える。

間違いなく、私たちは歴史の分岐点の時代のただ中にいる。

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