2027年4月から2年間、食料品(軽減税率対象品目)の消費税率が8%から1%に引き下げられる。
高市早苗首相が7月30日に正式表明し、8月5日の臨時閣議で「給付付き税額控除」制度導入の基本方針として閣議決定された。
対象は酒類・外食を除く飲食料品。税率は1%までしか下げないが、残る1%分は現金給付というかたちで別途本人に還元し、税率引き下げと給付を合わせて食料品の消費税負担を実質ゼロに近づける設計だ。給付は2027年6月以降、所得に応じて開始する予定で、国全体では年間約6000億円規模の財政負担になるとみられる。
2029年度に所得連動給付を本格導入するのに合わせて税率は8%に戻す時限措置で、高市首相は「2年後に私が責任をもって確実に税率を元に戻していく」と明言している。
財源は赤字国債に頼らず歳出・歳入の見直しで確保する方針だが、具体像はまだ示されていない。税率をゼロではなく1%にとどめたのは、レジ改修期間を短縮し2027年4月の実施に間に合わせるためだという。1989年の消費税導入以来、税率が下がるのは今回が初めてとなる。
暮らしへの影響。「給付対象外」への支援は?
私たちの生活にまず表れるのは、店頭価格の変化だ。スーパーやコンビニで買う食品は、これまで税込1080円だった商品が1010円になり、約6.5%値下がりする計算になる。一方で、レストランなどの店内飲食や酒類は消費税率10%のまま据え置かれるため、同じ弁当でも「持ち帰れば軽減税率で安く、店内で食べれば10%のまま」という差が生じる。
所得連動給付も2027年6月以降にセットで実施される予定だが、対象者や金額、支給時期といった詳細はまだ確定していない。そして2年後の2029年4月には税率が8%に逆戻りする見込みだ。
給付の対象から外れる高齢者や低所得者への手当てをどうするかは、いまなお「検討中」の段階にとどまっている。
また、税率が7%分下がったからといって、店頭価格に反映されるとは限らない。原材料費や人件費の上昇分を店側が価格に上乗せするタイミングと減税のタイミングが重なれば、値下げ分が相殺され、「安くなった」という実感が薄れる可能性もはらんでいる。
残る“財源の壁”。与野党から異論相次ぐ
高市首相は、8月4日の党役員会で9月に税制改正大綱を決める考えを示しており、政府・与党は9月に大綱をまとめたうえで秋の臨時国会に関連法案を提出し、成立をめざす。財源の具体策、給付の対象者・金額・支給時期、外食との線引きの詳細などは、この法案審議を経て確定する見通しだ。
その財源をめぐっては、年5兆円規模ともされる内訳が明示されないまま議論が進んでいることへの懸念が強い。想定通り確保できなければ社会保障の縮小や別の増税という形で跳ね返ってくる恐れがあり、外食業界との税率差による不公平感、事業者側のレジ改修コストといった課題も指摘されている。
外食企業の業界団体である日本フードサービス協会も、食材費や人件費の高騰で飲食店の倒産が過去最多となるなか、減税が外食離れを招き経営にさらなる打撃を与えかねないとして慎重な対応を求めている。
こうした懸念を背景に、与野党双方から異論が相次いでいる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、減税自体には賛成しつつも「やり方が間違っている」とし、農業・外食産業への負担の偏りを理由に所得税・住民税減税など別の手法を主張する。
チームみらいの安野貴博党首は、店頭価格は良くて7割程度しか下がらないこと、農業・外食産業への対応策がないこと、高所得層ほど恩恵が大きく政策目的とずれること、財源が不明確なことを理由に一貫して反対している。
立憲民主党も、財源や事業者支援策の欠如、2年後の負担増リスクを挙げて反対の立場だ。
自民党内でも、石破茂前首相が財源不明を繰り返し批判し「減税より給付」の立場を崩さないほか、小渕優子元経済産業相は財源のツケが次世代に回ると訴えて税調インナーを辞任。河野太郎元外相も価格転嫁の不確実性や減税終了後の物価急騰リスクを理由に給付による対応を主張している。
審議の行方によっては、税率や実施時期を含めた内容そのものが変わる可能性がある。
世論調査「賛成49%」、支持政党で評価分かれる
時事通信の世論調査(8月6〜9日、全国1974人)では、食料品消費税を「実質ゼロ」とする方針への賛否は賛成49.1%、反対31.6%だった。
自民・維新の支持層では賛成が6割前後に上る一方、政府方針に異論を唱える国民民主・参政の支持層でも賛成が反対を上回るなど、党の立場と支持層の受け止めがねじれる結果となった。
立憲・チームみらい・共産などの支持層では反対が優勢。職業別では、収入減が懸念される農林漁業でやや反対が優勢だったのに対し、商工・サービス業では賛成が上回っており、影響を受ける立場によって評価が分かれている。

2 ヶ月前
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