防衛技術ブームに陰り 企業統廃合が拡大か 中間選挙、資金調達がピーク

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2026年9月8日火曜日、ワシントンD.C.のペンタゴンを上空から撮影(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

2026年9月8日火曜日、ワシントンD.C.のペンタゴンを上空から撮影(AP通信/ジュリア・デマリー・ニキンソン撮影)

By Ben Wolfgang – The Washington Times – Monday, September 28, 2026

 急成長する先端防衛技術分野を走る「高速列車」に、ブレーキがかかり始めているようだ。ワシントン、シリコンバレー、ウォール街で生じている複数の要因が重なり、つい最近まで際限のない成長が見込まれていた業界で、企業統合の波を引き起こす可能性がある。

 その展開はこうだ。自律システムや人工知能(AI)を活用したツールなどの最先端技術を開発する新興企業や新規参入企業を後押ししてきた、かつてない規模の民間ベンチャーキャピタル投資がピークを迎え、縮小する。一部の防衛技術企業の評価額も下落する。

 11月の中間選挙後、1兆5000億ドル規模の国防予算が成立しなければ、画期的な技術を国防総省の「ドローン優越イニシアチブ」やトランプ大統領が提唱するミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」などの大型計画への参加を望む企業に資金は回らなくなる。

 小規模な企業は合併するか、大手防衛企業に買収される可能性がある。

 民主党は、トランプ政権の大規模な支出や、米国の防衛産業を再編しようとする取り組みに反発してきた。民主党が中間選挙で、議会の上下両院または一方を支配した場合、国防総省のこれらの計画への予算は削減される可能性がある。

 イラン攻撃で迎撃ミサイル「パトリオット」など、従来型の兵器が不足している。増産が必要であり、そのために予算が振り向けられ、さらに予算自体が削減されることになれば、防衛産業への新規参入企業への資金がさらに細る可能性がある。

 現在の防衛技術革命を支持する議会の有力共和党議員の間で、懸念すべき見方が広がる可能性がある。政治的には、最も期待される先端防衛技術の一部が、米国のイラン攻撃で中心的な役割を果たしていないのではないかとの議論につながり、なぜ追加の資金が必要なのかという疑念が生じているからだ。

 戦闘経験豊かな元陸軍特殊部隊「グリーンベレー」隊員として知られ、先進防衛技術の導入を強く支持するパット・ハリガン下院議員(共和党、ノースカロライナ州)は「私が懸念しているのは、新しい防衛技術がイラン攻撃でまだ実戦投入される機会すら得ていないことだ」と語った。

 同氏は最近、ワシントン・タイムズのポッドキャスト「スレット・ステータス」の独占インタビューで、「私以外のほぼ全員、国防総省、行政部門、議会の人々が、国防費を大幅に増やすと発信してきた。そのため企業はそれを前提に投資を進めてきた」と述べた。

 ハリガン氏は「悪夢のシナリオは、それが実現しないことだ。それを特に懸念している。そうなれば、これまで投入されてきた防衛技術、新たに登場した防衛技術への資金は枯渇し、次の世代まで戻ってこない。問題になるのは、すべての新興防衛技術企業が、投資家が過去数年間に行った投資を何らかの形で生かすため、知的財産を既存の大手防衛企業に売却せざるを得なくなることだ。防衛産業にとって壊滅的な事態になる」と語った。

 ただ、こうした見方には例外もある。テキサス州のサロニック社が製造する先端無人艇はイラン攻撃で使用され、アリゾナ州のスペクトルワークス社が製造する低価格の攻撃型ドローンも投入された。米軍は戦闘で標的選定にAI搭載ツールを利用している。新たな画像処理能力、通信ツールなども中東の戦場で有効性を示している。

 それでも、1兆5000億ドル規模の防衛予算が実現せず、民間資本の投資も減速すれば、こうした企業の一部が事業を拡大することは極めて難しくなり、最悪の場合、存続そのものが危うくなりかねない。

 その結果、冷戦後の「最後の晩餐」が、21世紀版として再現される可能性がある。1993年、国防総省で開かれた歴史的な夕食会に米国の主要防衛企業の最高経営責任者(CEO)らが集められ、企業統合を求められた。これが冷戦後の「最後の晩餐」だ。

 その後、歴史的な規模の合併・買収の波が起き、主要防衛企業の数は少なくとも51社から5社にまで減少した。

 この記事は、現職の政府当局者から防衛産業の経営幹部まで、十数人を超える高位の関係者への取材に基づいている。その多くは、一定規模の縮小や企業統合が起きる可能性が高く、すでに始まっている可能性もあるとみている。

■押し寄せる巨額資金

 国防総省がAI、ドローン、宇宙を利用した能力などの先端技術に力を入れていることが、業界全体の資金調達ブームを後押ししてきた。

 正確な金額は情報源によって大きく異なり、「防衛技術」企業をどのように分類するかによる。それでも、業界が猛烈な勢いで成長してきたことは、各種の指標から明らかだ。

 2024、2025会計年度にはそれぞれ約5000社の新規企業が防衛産業に参入した。戦略国際問題研究所(CSIS)のデータによると、2025会計年度に「非伝統的」な防衛企業に発注された契約額は1226億ドルに達し、10年前の610億ドルから倍増した。

 オンラインデータベースを提供するクランチベース社によると、今年は軍事、国家安全保障、法執行関連の企業に146億ドルのベンチャー投資が流入し、前年の過去最高額96億ドルを大きく上回った。2020年にはわずか16億ドルだった。

 デジタルメディア「テクロイ」によると、昨年は「防衛技術ユニコーン」が10社誕生した。ユニコーンとは業界用語で、企業評価額が10億ドル以上の新興企業を指す。対ドローン用レーダーを開発するカオス・インダストリーズや極超音速兵器を開発するカステリオンなどが含まれる。

 最近のベンチャー投資の多くは、現在、米国の防衛産業全体の中核を担うとみられている企業に流れている。クランチベースのデータによると、防衛技術大手アンドゥリルは今年少なくとも50億ドルの資金を調達した。AIソフトウエアや自律型ドローンのメーカーとして存在感を高めるシールドAIは少なくとも20億ドル、イラン攻撃で使用されたコルセアなどの無人艇を製造するサロニックは、クランチベースによると18億ドルを調達した。

 ベンチャーキャピタル資金調達の拡大は、国防総省が「防衛自律戦闘グループ」などの計画を拡大する動きとも重なっている。これは大量のドローンを製造し、実戦配備するための包括的な取り組みだ。国防総省は27会計年度に同計画向けとして546億ドルを要求している。

 急速な成長の一方で、業界の一部の指導者は、企業が急速に事業を拡大し過ぎないよう警告している。

 むしろ、将来実現する可能性のある技術を示すだけでなく、国防総省が現在必要としている能力を実際に実証することに注力すべきだという。

 航空宇宙・防衛企業アース・メジャーのクリス・スパニョレッティCEOは最近、スレット・ステータスの独占インタビューで、「この分野の企業は非常に慎重でなければならないと思う。予算がどうなるか、どちらの党が政権を担うか、誰が下院や上院を支配するかにかかわらず、企業は成果を出し、実行しなければならない」と述べた。

 「企業が国防総省の抱える主要な課題を解決し、それをわれわれのように実証すれば、予算化につながり、より安定した将来を確保できる」

■企業統合はすでに始まったか

 ウォール街では、ロッキード・マーティン、RTXなど米防衛産業の「プライム」と呼ばれる大手企業が、イラン攻撃などの任務に必要な戦闘機、車両、弾薬などへの需要の高まりで業績を伸ばす中、小規模な技術系企業の買収に乗り出す可能性があるとの見方が出ている。

 S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの上級調査員、ユリ・ストルータ氏は、今年の防衛技術分野に関する分析で、「伝統的な防衛企業の株価上昇が、防衛分野で新たな取引の波を生む可能性がある。既存の企業は技術力を迅速に高めるため、有望な新興企業を買収する可能性がある」と指摘した。

 トランプ政権の「(市販のクラウドやソフトを優先して使う)コマーシャル・ファースト」戦略がいずれ限界に達すれば、この動きは加速する可能性がある。この戦略は、民間で利用できるAIツールなど、民間で用途があり、同時に軍事、法執行、情報活動にも利用できる能力を開発する企業を見つけることを柱としている。

 支持者は、この方式によって国防総省が新技術をより迅速に取り込めると主張している。

 一部の業界関係者によると、問題は、民間市場で想定される顧客がほとんどいない防衛技術に焦点を絞り、製品を開発する新興の企業が増えていることだ。こうした企業は、期待していた国防総省との契約を確保できなければ、資金面で厳しくなる。

 電動ボート大手ナビアの創業者兼CEO、サンプリータ・バタチャリヤ氏は「シリコンバレーにいると、誰もが『防衛技術のスタートアップになれ。防衛技術を開発しているのか。われわれが買おう』と言う。われわれはまた同じことを繰り返そうとしているのではないか」と語った。

 同氏は今年、「スレット・ステータス」のポッドキャストで、「変な話だ。民間で利用できるものが欲しいと言いながら、シリコンバレーに行けば、『防衛技術のスタートアップを立ち上げろ。防衛分野には金があるのだから』と言われる」と述べた。

 合併・買収には2つの異なる動向があるが、いずれも同じ結果につながる可能性を示している。

 格付け会社S&Pのデータによると、既存の防衛企業同士の合併・買収は近年、大幅に減少している。一方、大手会計事務所、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、ロンドン証券取引所グループのデータを引用し、航空宇宙・防衛分野全体の合併・買収活動は2025年に拡大し、「案件の発表件数が過去最高を記録し、取引総額は前年比60%増となった」としている。

 つまり、台頭しているのは、防衛産業の新興企業や新規参入企業を対象とした取引だ。

 7月には、先端防衛技術大手のレオナルドDRSが、防衛ソフトウエア企業ラフトを4億5000万ドルで買収することで合意したと発表した。3月には、アンドゥリルが、望遠鏡ネットワークを運用し宇宙観測データを提供するエクソアナリティック・ソリューションズを買収することで合意したと発表した。

 昨年には、ドローン大手エアロバイロンメントが、対ドローン技術・防衛技術企業、ブルーハローを41億ドルで買収した。これも、防衛技術市場全体で企業統合が進む可能性を示す新しい動きの一つだ。

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