
兵器や軍事産業をめぐる発言に対する社会の感覚が、いつしか大きく変わってしまったかのように思える我が国。なぜこれまで掲げ続けてきた「平和国家」の看板は今、捨て去られようとしているのでしょうか。今回のメルマガ『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野晃一郎さんが、自民党議員やドローン企業経営者によるSNSへの発信を取り上げ独自の目線で検証。その上で、田中角栄氏や宮澤喜一氏の言葉を紹介しつつ、反戦の記憶が薄れゆく日本の現状に警鐘を鳴らしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです
ウクライナの兵器を前にはしゃぐ自民党国会議員
今週は、以下の自分の投稿を取り上げます。自民党衆議院議員の国光あやの氏の投稿を引用したものです。
やたらタイムラインに流れてくる。もともと問題の多い議員だが、この露骨なはしゃぎぶりには言葉もない。こんな動画をあげることに何の躊躇もないのが恐ろしい。この人はもともと医師らしいが、今の自民党の現役国会議員にはこのような人ばかり。これを見たら美輪さんはなんと言うだろう…。 https://t.co/1bGX7PLXtp
— 辻野 晃一郎 (@ktsujino) June 29, 2026
● https://x.com/ktsujino/status/2071455056856334618
この自民党国会議員は、以前からデマを拡散するなどで問題の多い議員ですが、先日このような動画を上げていました。
何をしに行ったのか知りませんが、ウクライナに行き、ウクライナ軍のドローンなどの兵器を前に、同国の軍事技術や軍事産業を絶賛しています。元々医師だそうですが、ネットにはこれらの兵器でロシア軍の兵士たちが標的にされて殺される動画が溢れています。まさか見ていないということはないでしょう。
かつての我が国であれば、国会議員が戦争当事国に出向いてこの手の発言をすれば、それだけで議員辞職は免れなかったと思いますが、今やこのような光景は日常茶飯事となりました。
なにしろ、高市首相自身が、トランプ大統領来日時に、米軍ヘリに同乗して、日米地位協定の象徴でもある横田空域を横切って米軍横須賀基地に同行し、米国海軍の原子力空母の上でピョンピョンと飛び跳ねても誰も咎めないような国になってしまったわけですから、この動画についても問題視する方がおかしい、ということなのかもしれません(笑)。
これに加えて、以下のポストも取り上げます。
ロシアに続き、中国からも睨まれたテラドローン。国防のために命を捧げる覚悟だ。ゆえに何度も戦場・ウクライナに来ている。ただいま12回目のバトルフィールド。https://t.co/rvS4DPipKE
— 徳重 徹|Terra Drone(株)代表、Terra Charge㈱代表 (@toru_tokushige) June 30, 2026
● https://x.com/toru_tokushige/status/2072099101869809987
この人は、テラモーターズというEVのベンチャーを創業した起業家で、当時私も接触を受けてしばらく応援していた人です。しかし、インドやベトナムなどでのEV事業がまったくうまく行かず、そのうちテラドローンという別会社を合弁で作り、当初は測量などでの用途に向けたドローン事業に活路を見出そうとしていました。
しかし、そのうちテラチャージというEV用の充電器を国内各地に設置する補助金ビジネスに手を出したと思ったら、ついには、ウクライナのドローン企業2社を買収して軍事産業に乗り出してしまいました。防衛産業強化にひた走る国策に乗じた動きと思いますが、まさに「貧すれば鈍する」とはこのことだと思います。
ロシアや中国から目を付けられていることを粋にでも感じている風情で、「国防のために命を捧げる覚悟」だの「12回目のバトルフィールド」などと息巻いている姿には、かつての志高い起業家の面影などどこにもありません。そこにあるのは、ただ戦争で儲けようとする「死の商人」に成り下がった姿です。
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あっという間に、ずいぶんおかしな国になってしまったものだとつくづく思います。先日、美輪明宏氏の訃報がありましたが、一人、また一人と、戦争の悲惨さを身をもって体験し、生涯にわたって反戦の姿勢を貫いた方々が次々と鬼籍に入られていくことに危機感を強めます。
田中角栄元首相が、「戦争体験者がいなくなったらこの国は危ない」という言葉を残していますが、まさにその通りの展開です。宮澤喜一元首相も、外務大臣だった時に「我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれていない」と発言していますが、もはやこのような言葉すらも響かない国になってしまったようです。
※ 本記事は『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中 』2026年7月3日号の一部抜粋です。このほか、「今週のメインコラム」や「読者の質問に答えます!」、「スタッフ“イギー”のつぶやき」など、レギュラーコーナーも充実。この機会にぜひご登録をご検討ください。
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image by: Jose HERNANDEZ Camera 51 / Shutterstock.com
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3 時間前
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