
この記事の要点
- CSBS調査:米地域銀行の6割がステーブルコインで預金流出を懸念
- GENIUS法施行を控え、銀行37%がネットワーク参加を検討
米銀行の6割が預金流出を懸念
米州銀行監督者協会(CSBS)は2026年10月6日、ステーブルコインやAIなどの新技術が地域銀行に与える影響をまとめた第13回「地域銀行年次調査」の結果を公表しました。
この調査では、回答者の約60%がステーブルコインによる預金流出と融資余力への影響を懸念していることが示されています。
こうした結果について、CSBSのブランドン・ミルホーン会長兼CEOは、「地域銀行を取り巻く環境が急速に変化しており、ステーブルコインが新たな競争圧力を生んでいる」と述べました。
同氏は、サイバーセキュリティの脅威も銀行経営のリスクを高めているとしたうえで、AIが銀行運営と顧客サービスに新たな可能性とリスクをもたらしていると指摘しています。
調査は2026年4月15日から7月15日にかけて実施され、総資産100億ドル(約1兆5,800億円)未満の地域銀行を対象に、35州の330行が回答しました。
ステーブルコイン報告枠の新設提案
地域銀行を襲う三重課題「ステーブルコイン・AI・サイバー」
制度整備で現実味増す預金流出リスク
ステーブルコインの影響について、同調査では預金流出と融資余力の低下を「最も大きい」とした回答が37.8%、「中程度」が22.4%となり、合計60.2%に達しました。
同報告書は、ステーブルコインが地域銀行にとって預金の競争相手になり得るとし、規制の実施にばらつきが生じる可能性にも言及しています。
米国では2025年7月18日にステーブルコイン規制法「GENIUS法(ジーニアス法)」が成立しており、施行日は成立から18カ月後、または実施規則の最終化から120日後のいずれか早い日と定められています。
規制の実施にばらつきが生じる場合、地域銀行が銀行以外の発行体と異なる競争条件に置かれる可能性があるとCSBSは分析しています。
ネットワーク参加37%、提携計画も12%に
ステーブルコインを競争圧力として警戒する地域銀行の間では、デジタル資産分野への関与を探る回答も確認されています。
対応方針を尋ねた設問では、コアサービスプロバイダーを通じたネットワーク参加を予定する回答が37.0%となりました。
既存の発行体との提携を計画する回答も12.3%にのぼり、地域銀行が自ら発行に踏み出すよりも、既存の取引基盤や外部事業者との連携を通じて関与を探る姿勢が示されています。
同報告書は、地域銀行がステーブルコインへの関与を「競合に先行するため」ではなく、「取り残されないため」の選択肢として捉えている傾向があると分析しました。
不正検知とサイバー対策でAI導入が本格化
デジタル資産への関与を探る一方で、地域銀行では既存業務のリスク管理に向けたAI(人工知能)の試験導入も始まっています。
同報告書によると、回答者の約53%が試験的な運用中、または特定業務に限ってAIを使い始めている段階にあると答えました。
用途で最も多かったのは不正検知とセキュリティで、AIを導入済みまたは導入予定の銀行の77%がこの分野で利用していると回答しています。
こうした新技術の導入が進むなかでも、サイバーセキュリティを「非常に重要」または「極めて重要」とした回答は約95%にのぼり、9年連続で内部リスクの首位となりました。
SCが銀行収益36兆円を脅かす
規制の具体化で問われる地域銀行の預金戦略
CSBS調査では、ステーブルコインへの警戒と、デジタル資産分野への関与を探る地域銀行の姿勢が示されました。
米国ではこの分野の制度整備も進んでおり、GENIUS法は2027年1月18日、または主要な連邦決済用ステーブルコイン規制当局が最終規則を公布してから120日後のいずれか早い日に施行される仕組みとなっています。
FRB(米連邦準備制度理事会)は2026年9月24日、GENIUS法に基づき、FRB監督下の決済用ステーブルコイン発行者を対象とする2つの規則案を公表しました。
制度整備が最終規則の段階へ進むなか、地域銀行にとっては預金基盤への影響を見極めながら、ステーブルコイン関連サービスへの関与を判断する局面に入っています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.17 円)
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