この研究の概要
発表
2026年9月に、天文学の専門誌『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されました。
調べた対象
太陽が年老いてガスを失っていくあいだと、その後の、木星・土星・天王星・海王星の軌道です。
調べ方
コンピューター上で惑星の動きを計算し、ガスがなめらかに抜ける場合と、かたまりで偏って放り出される場合を比べました。かたまりで放り出す場合は、条件を変えた672回の計算の結末を、さらに30億年先まで追っています。
分かったこと
ガスがかたまりで偏って飛び出す場合、観測と合う設定の計算の約40%で、太陽が白色矮星になる前に外側の惑星の並びが壊れるか、惑星が激しくはじき合いました。外側の太陽系の寿命の見積もりは、100京年から、白色矮星ができて約10億年へと縮みました。
まだ分かっていないこと
太陽が実際にどれだけ粗いかたまりでガスを放り出すのかは、まだ確かめられていません。今回の結果は、白色矮星の反動をかたまりの放出によるものとみる解釈に立っています。
「100京年は安泰」とされてきた外側の太陽系
太陽系はこの先も壊れずにいられるのかという問いは、天体の動きを計算する学問が生まれた頃からありました。
内側の惑星については、答えがほぼ出ています。
太陽が今のように安定して輝いているあいだに、水星の軌道が乱れる確率はおよそ1%です。
一方、外側の4つの惑星は、もっと安泰だと考えられてきました。
ハッブル宇宙望遠鏡が10年にわたってとらえてきた、太陽系の外側にある4つの巨大な惑星(木星・土星・天王星・海王星)を並べた画像です。Credit: Science NASA, ESA, Amy Simon (NASA-GSFC), Michael H. Wong (UC Berkeley) Image Processing: Joseph DePasquale (STScI) / Wikimedia Commons(Public domain)惑星どうしの引っ張り合いだけなら、並びが崩れるまでおよそ100京年かかると見積もられていたのです。
100京は、1のあとに0が18個並ぶ数です。
太陽が軽くなることや、近くを通る別の星の影響を入れても、約1000億年はもつとされていました。
ただし、これらの見積もりには共通の前提がありました。
太陽が外側のガスを、なめらかに、少しずつ手放していくという前提です。
死にゆく星が放り出したガスの外層が広がる、惑星状星雲のらせん星雲(NGC 7293)です。Credit: The HST data are from proposal 9700. Processed images may be obtained from the Helix MAST web site. The Hubble Helix Tea / Wikimedia Commons(Public domain)研究チームが目を向けたのは、この前提と合わない最近の観測でした。
太陽のような星の燃えかすを、白色矮星(はくしょくわいせい)と呼びます。
その白色矮星が、反動を受けて突き動かされていることが、最近測られたのです。
反動が生じるには、ガスがどこかに偏って飛び出していなければなりません。
それなら、ガスはかたまりになり、毎回ばらばらの方向へ放り出されていると考えるのが自然だと、研究チームはみています。
これまでの「安泰」は、太陽が静かに軽くなるという仮定の上に立っていたのです。








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