仮想通貨マイニング課税繰延法案、米3団体が修正なしでの可決を要請

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この記事の要点

  • 米仮想通貨3団体がマイニング課税法案の原案可決を議会に要請
  • 法案成立でマイニング・ステーキング報酬の課税を売却時まで繰延可能に

仮想通貨課税見直し法案、業界3団体が原案支持

米仮想通貨業界の主要3団体は2026年6月21日、下院歳入委員会のジェイソン・スミス委員長らに宛てた連名書簡を公表し、「マイニング・ステーキング税制明確化法案」を提出時の原案のまま可決するよう求めました

法案が成立すれば、マイナーやステーカーは新たに得たトークンへの課税を、報酬の受取時ではなく実際に売却した時点まで繰り延べられるようになります。

こうした繰り延べが求められる背景には、報酬を受け取った時点の時価で課税所得を計上させ、資産を売却していなくても納税を迫る現行制度の重い負担があります。

3団体は書簡で「こうした受取時課税が納税資金を確保するためだけの売却を強いている」と指摘し、法案にまとまった超党派の妥協を崩さず早期に可決するよう議会に訴えました。

この書簡には、ブロックチェーン協会のサマー・マーシンガーCEO、CCIのジ・フン・キムCEO、デジタル・チェンバーのコーディ・カーボンCEOが名を連ねています。

受取時課税の見直しと原案維持を求める理由

受取時課税が生む「幻の所得」問題

3団体が見直しを求める受取時課税の扱いは、ビットコイン(BTC)登場以降、米内国歳入庁(IRS)が個別のガイダンスを積み重ねることで確立されてきました。

その出発点となったのが2014年のNotice 2014-21で、IRSはマイニングされたビットコインを取得時点の公正市場価値で総所得に算入するよう求めています。

その後も同庁は課税方針の明確化を進めており、2023年にはRevenue Ruling 2023-14で、ステーキング報酬も受取時点で課税所得として扱う方針を示しました。

こうした取り扱いについて3団体は「資産を売却していない段階で納税義務が発生する”幻の所得”の問題を招き、納税資金を確保するための売却を強いられる」と指摘しています。

3団体はこれらの課税上の問題が、PoSやPoWによって保護されるデジタル資産エコシステム全体にも影響するとして、両方式で1.7兆ドル(約255兆円)超の資産が保護されている点を挙げながら、法整備の必要性を訴えました。

売却・死亡時まで所得認識を先送り可能に

こうした課題への対応として、下院歳入委員会に所属するマイク・ケアリー下院議員(共和党・オハイオ州第15区)はH.R.9175を提出しています。

ケアリー議員は6月10日の発表で、新たにマイニング・取得したデジタル資産を通常所得として扱いながらも、納税者が「自己創設資産」に準じた税務処理を選択できる仕組みを導入すると説明しました。

この選択を行った場合、マイナーやステーカーは報酬受領時の即時課税を回避でき、所得の認識は資産を実際に売却した時点、または納税者の死亡時まで繰り延べられます。

一方で法案は、無期限の課税回避や既存の自己創設資産との完全な同等扱いを認めるものではなく、適用範囲を限定した制度設計となっています。

法案にはこのほか、デジタル資産を保有するグランター・トラスト(委託者信託)が、信託としての税務上の地位を維持したままステーキング報酬を受け取れるようにする規定も盛り込まれています。

マイニング課税、現行制度と法案の違い

受取時課税を維持する現行ルールと、選択により課税繰延を認めるH.R.9175の違いは以下の通りです。

報酬の種類 現行のIRSガイダンス H.R.9175(選択した場合)
マイニング報酬 採掘時の時価で総所得に算入 売却時または死亡時まで認識を繰り延べ
ステーキング報酬 受取時に直ちに課税所得 自己創設資産に準じた選択制で同様に繰り延べ

5年ごとの所得認識案に3団体が反対表明

3団体が原案維持を求めている背景には、法案審議の過程で報酬の認識を一定期間ごとに義務づける修正案が浮上していることがあります。

書簡によると、このうち5年ごとの所得認識を求める案については、合同租税委員会(JCT)の試算でも税収効果は限定的と評価されています。

3団体は、この修正案が導入された場合、売却していない資産についても数百万規模のウォレットで取得原価の追跡や損益計算が必要になり、納税者と税務当局の双方に大きな事務負担を生じさせると主張しました。

これに対し原案であれば、売却時または死亡時に所得を認識するという政策目的を維持しながら、制度運用を大幅に簡素化できると説明しています。

そのため3団体は、すでに形成された超党派の妥協を再び見直せば法案成立そのものが遠のく可能性があるとして、修正を加えず可決するよう求めました。

夏季休会前の採決、原案維持か修正かが論点

3団体が書簡を送った下院歳入委員会は、これに先立つ2026年6月9日、デジタル資産課税をテーマとした全体公聴会を開き、マイニング・ステーキングの税制をめぐる複数の法案草案を審議の対象としていました。

ケアリー議員による法案提出に合わせ、歳入委員長を務める共和党のジェイソン・スミス議員も、グランター・トラストの税務上の地位が現行ルールによって損なわれる可能性があるとして法案への支持を表明しています。

今後の審議では、原案のまま採決に進むのか、それとも報酬の認識を5年ごとに求める修正案などを取り込むのかが論点となります。

夏季休会を前に立法日程が限られるなか、委員会ではH.R.9175を原案のまま採決に進めるか、修正を加えたうえで審議を続けるかの判断が進められています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=161.55 円)

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Source:3団体連名書簡
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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