
リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相は、2026年9月8日火曜日、リトアニアの首都ビリニュスにある外務省で、オランダのトム・ベレンセン外相との会談後に行われた記者会見で発言した。(AP通信/ミンダウガス・クルビス撮影)
By John T. Seward – The Washington Times – Tuesday, September 22, 2026
北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、同盟に対するロシアによる破壊工作などの「グレーゾーン」脅威に直面し、結束を強めている――。リトアニアのケストゥティス・ブドリス外相がワシントン・タイムズとの単独インタビューで語った。
リトアニアはNATOにとって重要な対露前線国家であり、ブドリス氏は、ドイツのライプチヒ空港で起きた事件を、ロシアのハイブリッド戦術が明確になった事例として挙げた。西側の捜査当局は先月、同空港で爆発物を取り付けたドローンが見つかったことについて、ウクライナ向けの貨物を運ぶ輸送機を破壊しようとした可能性が高いとみている。
こうしたグレーゾーン脅威は、しばしばスパイ活動や破壊工作を伴い、直接的で強力な軍事対応を招来すると考えられる水準を意図的に下回らせることで、NATOが集団として行動するきっかけとなることを避けている。こうした低コストの工作は同盟を混乱させるとともに、ロシアとの戦争を続けるウクライナへの軍事支援を継続するかどうかといった重要な決定について、世論のためらいを生み出す狙いがあると専門家は指摘する。
ブドリス氏は、ロシアのこうした行動がNATOの結束を強めているとしながらも、さらなる対策が必要だと述べた。
ニューヨークで今週開かれる国連総会を前に「今、すべきことはたくさんある。政治面では、上層部の意識を変えなければならない」と語った。
「バルト諸国や北欧諸国の政治家の間には、こうした認識がある。しかし欧州の西側に行くと、こうしたことが実際に起きていることを認めることや、これを防ぐための決定に自分たちも責任を負っていることを認めることに、ためらいがあった」
ブドリス氏は、米国と欧州の防諜協力が、ロシアが仕掛けようとする「一部の工作を阻止する」のに役立っていると述べた。
ライプチヒ空港での計画を引き合いに出しながら、「特に爆発物を使おうとした今回の事件の後、変化が起きていると感じる。ロシアには政治的かつ非対称的に対応しなければならない。そうしなければ、止まらない」と語った。
ハイブリッド脅威対策欧州センターの専門家らは、ロシアの行動は変化し、より攻撃的になっていると指摘する。専門家によると、ロシア側はウクライナ向けのインフラや物資を攻撃する段階から、民間人を殺害する可能性のある攻撃へと移行している。
ライプチヒ空港での事件や、最近バルト海とフィンランド湾で起きた海底ケーブルの損傷は、いずれもロシアと関係する勢力による破壊工作の可能性が指摘されており、グレーゾーン活動と通常戦争との境界を曖昧にしている。
ブドリス氏は、エスカレーションを防ぎ、対応を控えることこそ「ロシアが狙っていることだ」と警告した。
「ロシアは、このグレーゾーンを利用して、第5条発動の少し手前のところで行動すれば反撃されないと考えている。われわれが反応しなければ、ロシアは非常に安上がりな方法で問題を起こせるようになる」
NATO条約第5条は、加盟国の1カ国に対する攻撃を全加盟国に対する攻撃とみなすと定めている。発動されたのは1度だけで、2001年9月11日に米国で起きた同時多発テロを受けたものだ。
■ロシアの戦術
リトアニアは、急速に高まるロシアとNATOの緊張の中心にある。先週、NATOの戦闘機がリトアニア領空でロシアのものとみられるドローンを撃墜した。ロシアのものとみられるドローンがNATO領空に侵入する事例が相次いでおり、専門家の多くは、ロシア政府がNATOに反撃の意思があるかどうかを探っているとみている。
同時に、ロシアのハイブリッド戦術は加速しており、一部の専門家が新たな21世紀型の冷戦とみなす事態にまで緊張は高まっている。
ロシア連邦保安庁(FSB)は、冷戦時代の旧ソ連国家保安委員会(KGB)の戦術を受け継いだ情報機関だが、ブドリス氏によると、その工作には「2000~3000ユーロ(約36万~54万円)」程度でできるものもあり、コストを掛けずに混乱を引き起こすことができる。旧ソ連時代の参謀本部情報総局(GRU)を引き継いだロシア軍の情報機関も低コストの破壊工作を日常的に行っている。
こうした工作は費用対効果が高い。一方で、ロシアの治安・情報機関にとって必要な手段でもある。2022年には、ロシアの情報機関の要員の多くが欧州連合(EU)から追放され、ロシアが現地で情報工作を遂行する能力が損なわれた。地域の情報筋によると、その後はより現代的な工作が取って代わり、メッセージアプリ「テレグラム」を通じた暗号資産(仮想通貨)の取引も行われている。
ハイブリッド脅威対策欧州センターのテイヤ・ティリカイネン所長は、ロシアが対立をあおるために、多くの死傷者が出る可能性のある工作を試みるケースが急増していると述べた。
「予想外のことが起き始め、すべてが変わった。中国の台頭と、中国とロシアの協力だ。中国がロシアのウクライナ攻撃を支援する意思を持ち、中国が世界の主要国になろうとする意思を持っていることは、ロシアにとって非常に大きな利益になる。両国には共通の利益がある」
ティリカイネン氏によると、ロシアによる破壊工作の狙いは、ウクライナ向けの物資を破壊することだけではないという。KGB型の手法は、「破壊し、弱体化させ、世論と情報空間を操作する」ことであり、NATO同盟国が取り得る手段に影響を及ぼすことだという。
ティリカイネン氏は「つまり、これは世界の主導権と国際秩序の規範を巡る戦いだ。負けた場合の代償は大きい。ロシアは世界の力関係を変えようとしている」と述べた。
元駐露リトアニア大使のエイトビダス・バヤルナス氏は、ロシアは現在、暗殺や破壊工作など、大きな影響を与えられる活動に重点を置いており、これによってロシアのプーチン大統領が世界の安全保障を巡る議論の中心となっていると指摘した。
バヤルナス氏はインタビューで「プーチン氏のイメージにとって、NATOから強硬な声明が出ることは素晴らしいことだ。ロシア国民には、大統領が尊敬されているように映るからだ。プーチン氏に『懸念している』と言うことは、火に油を注ぐだけだ。ロシア人は『やっと尊敬される大統領が現れた』と考えるからだ」と述べた。
NATOが言葉だけでなく具体的な行動を取れば、効果を上げられるとの見方を裏付ける証拠はある。NATOの「バルト海哨戒作戦」では、NATOの哨戒艦がバルト海に展開し、通信、ガスなどの海底インフラが標的となる事例が減少したようだ。これらの問題の一部は過失によるものとされたが、地域の指導者らは、その一部についてロシアの関与を指摘している。
バヤルナス氏によると、ロシアの工作の根底にあるのは、利用できるあらゆる選択肢や手段を使って、自国の主張を広めることだ。一方、ロシアの行動を公然と批判してきた国の多くは、後手に回っているという。
同氏は、国外で何不自由なく暮らすロシアの富豪らを例に挙げ、ロシアからハイブリッド戦を仕掛けられてはいるものの、各国は直ちに対応を迫られるほど追い込まれてはいないとの見方を示した。
ブドリス氏も、NATO加盟国に対し、ロシアに「強硬な」姿勢で臨むよう呼び掛けた。この発言の直前、トランプ米大統領がロシアとその貿易相手国に対する強力な経済制裁を発動する権限を認める法案に署名し、成立させた。この法律には、ロシア産の石油・ガスを購入する国からの輸入品に100%の関税を課す権限が盛り込まれている。
ブドリス氏は「レッドライン(譲れない一線)を示し、毅然とした態度を示すことだ。ロシアには強硬な姿勢で臨む必要がある。ロシアは力しか信じておらず、弱みに付け込み、ぎりぎりまで強引に推し進めるからだ」

1 週間前
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