イスラエル軍関係者の証言を通して、ガザの民間人虐殺の真相に迫ったドキュメンタリー映画「NAZA ナザ」が、10月24日より日本で緊急公開される。
パレスチナ人とイスラエル人が共同で監督を務め、2025年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」の、イスラエル監督チームが手がけた新作。製作総指揮は、24年の同賞・国際長編映画賞受賞作「関心領域」のジョナサン・グレイザー監督が務めた。
イスラエルのネタニヤフ首相は、本作への非難を続けているが、監督たちは「イスラエル政府による国籍剥奪の脅迫や殺害予告は、私たちの決意を変えるものではない」などとコメント。日本をはじめ、世界各地の映画館で上映されるなど、本作を支持する動きが広がっている。
NAZAとは?民間人虐殺の「システム化」を告発
10月、パレスチナの武装組織ハマスの奇襲をきっかけに、イスラエルが、パレスチナ自治区ガザ攻撃を開始してから3年を迎えた。2025年10月の停戦発効後も攻撃は続き、民間人の犠牲者は増え続けている。
「NAZA ナザ」は、監督でジャーナリストのユヴァル・アブラハーム氏とラヘル・ショール氏が、イスラエル軍の兵士と諜報員24人に行った極秘インタビューに基づく。ガザでの民間人殺害について、どのような指令を受け、何をしたのか。デジタル化された遠隔攻撃を「事務作業のようなものだ」と語る者、「食糧配給所に人が集まったところを撃った」と証言する者。イスラエル国家が組織的に作り上げた、人間を人間としてみなさない<虐殺を可能にするシステム>を浮き彫りにした。証言者たちは、イスラエル当局に特定されれば報復を受ける危険があるため、匿名でインタビューに応え、声や姿には最新技術によるデジタル処理が施された。

©The Guardian 2026
NAZAとは、イスラエル軍がハマスの構成員を攻撃する際に、犠牲になると予測される「民間人の巻き添えの数」を表す軍事用語だ。犠牲を人数ではなく「NAZA」と値を置き換えることで、ひとりの人間としてではなく「数字」や「図形上の点」として認識し、実行者である兵士たちが攻撃任務を「作業のように」遂行できるーー。その民間人虐殺の「システム化」が、本作では明かされる。
監督のふたりは、「私たちはイスラエル人の映画製作者でありジャーナリストであるという立場から、ある使命感を持ってこの映画を制作しました。それは、私たちの国イスラエルが行っている、パレスチナ民間人の大量虐殺の背後にある『システム』を検証しなければならないというものです」と語っている。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、監督らを非難し、「国家に対する反逆」だとして国籍剥奪を表明している。監督の両親が住むイスラエルの家には数十人の暴徒が押し寄せるという事態にまで発展したといい、脅迫が過激化している。
これを受け、監督ふたりは「イスラエル政府による国籍剥奪の脅迫や殺害予告は、私たちの決意を変えるものではなく、映画を止めるものでもありません」と表明。「わたしは、ダニエル・ブレイク」「オールド・オーク」などで知られるケン・ローチ監督らも、本作を支持するなど、連帯の動きが広がっている。
日本でも、異例の速さで劇場公開へ
9月のヴェネチア国際映画祭で急遽プレミア上映された際には、史上最長となる25分間のスタンディングオベーションを浴びて審査員特別賞を受賞した。
本作は、「ここで明かされる真実が今すぐに、ひとりでも多くの人に届くべきだ」というジャーナリズムの観点から、イギリス誌「The Guardian」のウェブサイトで11月下旬から全編無料で配信される。
しかし、製作陣の「力強い作品です。スクリーンで観る価値がある」という意向を汲み、すでにイギリスやアメリカなどでは劇場公開が始まっている。10月11日時点で、アメリカとカナダでは、計30都市・85館で上映され、マーケティングキャンペーンなしで累計興行収入は50万ドル(およそ7910万円)を突破している。
日本でも「可能な限りの最速」という10月24日(土)より、異例の超緊急公開が実現する。渋谷のシアター・イメージフォーラムなどで順次公開される。
配給会社はトランスフォーマーで、「ノー・アザー・ランド」や、ネタニヤフ首相の汚職疑惑に迫った「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」などの日本配給も担当した。
9月下旬に権利を取得し、異例の速さでの劇場公開を決めた理由について、「ヴェネチア映画祭で初めて上映された際、私たちは大変強い衝撃を受けるとともに、その重要性、そして絶対にこの映画を日本で上映しなければならないという使命感を強く感じました」などとコメント。
映画館での鑑賞については「映画館という特別な空間でのご鑑賞は、より作品に没入し、そこで語られる言葉と現実をより身近なものとして受け止める貴重な体験になると信じております。ぜひ劇場へ足を運んでいただき、今まさに続いているこの現実について、私たち自身に関わる問題として、今一度考えをめぐらせるきっかけにしていただけたらと願っております」と呼びかけている。
◾️作品情報
『NAZA ナザ』
10月24日(土)シアター・イメージフォーラムほか順次公開
©The Guardian 2026
監督:ユヴァル・アブラハーム&ラヘル・ショール『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』
製作総指揮:ジョナサン・グレイザー『関心領域』
2026年/イギリス/ヘブライ語、英語/原題:NAZA/配給:トランスフォーマー

9 時間前
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