「もし裸の写真を送ってと言われたら?」「どう嫌と伝える?」子どもと一緒に考えた、SNSとの付き合い方や性的同意。どう授業で教える?

1 時間前 1

「もし裸の写真を送ってと言われたら?」「『嫌だ』って伝えたい時はなんて言う?」

性教育を専門とする講師たちが、教室に座る子どもたちに問いかけた。

宮城県南三陸町で6月、3日間にわたって行われた、性教育のパイロット授業「心と体を守る教育」での光景だ。

小中学生もSNSを通して様々な性の情報に触れる機会が増えている中、子どもたちにどう、SNS・インターネットとの付き合い方やコミュニケーションの取り方、性的同意について伝えるかが喫緊の問題となっている。

自らの心と体を守り、性暴力の被害者、加害者、そして傍観者にもならないための知識を学ぶ授業が町内の小中学校7校を対象に行われた。

パイロット授業「心と体を守る教育」で学ぶ児童たち
パイロット授業「心と体を守る教育」で学ぶ児童たち

Sumireko Tomita/ HuffPost Japan

授業は公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンによる、「SRHR for JAPAN」キャンペーンの一環として6月15〜17日、南三陸町の小学6年生と中学3年生を対象に実施された。

年齢に合わせた内容で「SNS・インターネット上のリスクとリテラシー」、「危機場面への具体的対処」などについての授業が行われた。

小学6年生向けの授業では、口・胸・性器・おしりなどの「プライベートパーツ」について学び、体のイラストの中で「自分が『他の人』にさわられたくないと思う部分」にシールを貼ってみるなど、講義と参加型のワークショップを組み合わせた形で進められた。

ワークショップでは、「他の人にさわられたくない」と思う部分にシールを貼って学んだ
ワークショップでは、「他の人にさわられたくない」と思う部分にシールを貼って学んだ

Sumireko Tomita / HuffPost Japan

授業をするNPO法人「ピルコン」理事長の染矢明日香さん
授業をするNPO法人「ピルコン」理事長の染矢明日香さん

Sumireko Tomita / HuffPost Japan

外部講師は、NPO法人ピルコンのメンバーが務めた。ピルコンでは、助産師、公認心理士などの資格を持つ職員が年間150回以上、日本各地で性の健康教育の出張講演をしている。

ピルコンでは通常、学校ごとにカスタマイズした性教育を行なっているが、今回のプロジェクトでは複数校で揃った内容を教え、地域に根ざす性教育のかたちを探る。

授業の内容は、南三陸町教育委員会や各学校の校長らと半年以上にわたり協議・調整した上で、決められた。

南三陸町でのパイロット授業を皮切りに、プロジェクトでは各地の小中学校、教育委員会と協力し「心と体を守る教育」を展開していくことを目指している。

プラン・インターナショナル・ジャパンの長島美紀さんは、「全ての子どもが学べればと思うが、地域格差があるのも事実。格差をなくしていくことがとても大切」とした上で、こう続けた。

一度限りの授業ではなく、各学校の教員や地域で活動する団体などが継続して子どもたちに教えていけるように、今後は研修も行なっていきたいと考えています」

グループワークで意見を交わす児童たち
グループワークで意見を交わす児童たち

Sumireko Tomita / HuffPost Japan

授業終了後、子どもたちからは「一番勉強になったのは、性的同意について。相手の同意がないとダメだよということを学んだ」「インターネット上で嫌なことをされたら、無理に返信しなくてもよくて、無視したり削除したりしても良いと知れてよかった」との声が聞かれた。

授業が行われた志津川小学校の校長・河原正樹さんは取材に対し、「ネットの影響で、子どもたちが性被害を受ける可能性が高まっている。低学年から早い段階で教えていくことはとても大切。専門性があってノウハウがあるプロの外部講師の方のお話に子どもたちもグッと引き込まれていたし、参加型のワークショップ形式でより学びが深まっていた」と話した。

「親子で話す機会なかなかない。一緒に聞けるのは貴重な機会」

中学校では、性的同意やデートDVなど、年齢に合わせたより実践的な内容が話された。
中学校では、性的同意やデートDVなど、年齢に合わせたより実践的な内容が話された。

Sumireko Tomita / HuffPost Japan

中学3年生向けの授業では、「恋人間で起こる暴力『デートDV』」や「性的同意が必要なシチュエーションや確認方法」など、年齢に合わせた、より具体的で実践的な内容についても話し合った。

「もし裸の写真を送ってと言われたらどうしたらいい?」「SNSを安全に楽しく使うにはどんな工夫が必要?」などの質問も投げかけられ、詳しい情報を学べるウェブサイトや、困った時の相談窓口も紹介された。

授業で話すNPO法人ピルコンのメンバー
授業で話すNPO法人ピルコンのメンバー

Sumireko Tomita / HuffPost Japan

授業は希望する保護者も参観。歌津中学校での授業を見学した、小学生、中学生、高校生の3人の子どもがいる母親は「親子で(性に関する)話をする機会はなかなかないので、一緒に聞けるのは貴重な機会。息子とはこんな話をしたことがなかったのですごく助かるし、全学年でやってほしいです。親も来れて、どんな授業をやっているか見れてわかりやすい」と話した。

ピルコンは、保護者が授業内容に抱く不安を取り除くためにも、事前に保護者向けに授業内容を紹介する短い動画をつくって説明していた。

「SNS・ネット上の性トラブル対応」「性的同意」、保護者からも授業を希望の声

プラン・インターナショナル・ジャパンは2025年、高校生の保護者を対象にオンラインで「心と体を守る教育」に関する意識調査を実施。(調査期間:2025年9月1日〜10月24日、有効回答数1906人)

調査結果では、学校で教えてほしい内容(複数選択可)として、75.1%が「SNS・ネット上の性トラブル(リベンジポルノ・出会い系等)への対応」、73.2%が「性的同意や『ノー』と言う力」を挙げていた。

また、性や心に関する教育は誰が教えると安心できるかという質問(複数選択可)に対しては、71.6%が「助産師、看護師、心理士などの専門家(外部講師)」、65.0%が「学校の先生と外部専門家が連携して行う授業」と答えていた。

NPO法人ピルコン・理事長の染矢明日香さん(左)
NPO法人ピルコン・理事長の染矢明日香さん(左)

Sumireko Tomita / HuffPost Japan

NPO法人ピルコン・理事長の染矢明日香さんは3日間の授業終了後、取材に対して、「子どもたちに何か悩みがある時に相談できる大人たちをもっと増やしていきたい」とし、以下のように語った。

「何が安全か危険かと見分け、SNSをどう安全に使っていくかという具体的な工夫を皆さんと一緒に考えられてよかったです。さらに幅広く学べるような講座やプログラムも作っていければと思います」

今回のパイロット授業は、第三者評価を通じて効果を検証し、将来的な展開や制度化につなげていくために、外部評価を実施する。

3日間の授業に立ち会った、青山学院大学社会連携推進機構の客員教授・苅宿俊文さんは、「(性や体に関する授業は)時代によって色々なものが求められる。プラン・インターナショナルのような国際的に評価が高い、適切な外部団体とも連携していくことが大切」と話した。

(取材・文=冨田すみれ子)

※ハフポストは招待を受け、現地の取材ツアーに参加しました。執筆・編集は独自に行っています。

記事全体を読む